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会社の辞令で転勤したものの、新しい職場に馴染めなくて退職をする。そのときに気になるのが、会社負担だった引っ越し費用を返金しなくてはいけないのかどうかですよね。1年くらい勤めたなら問題なさそうですが、数ヶ月で辞めるとなると請求されてもおかしくなさそうです。
そこでここでは、転勤してすぐの退職で会社負担の引っ越し費用を返金しなくてはいけないのかどうかについて解説していきます。そのようなケースで会社とトラブルになることなく辞めるポイントも合わせてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
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引越し百科の運営会社である株式会社SMAの代表兼ウェブディレクター。自身の引越し経験5回を元に記事の制作やキーワードコンセプトを決めるなど、サイト全体のプロディース業務を務めている。SEO業界のセミナー講師も務める。

2015年9月からWebメディアを中心に執筆を行っています。引越し経験10回の体験談を基に、ユーザー目線で役立つ情報を提供します。これまで、不動産、金融、旅、スポーツなど多岐にわたるジャンルで記事を執筆してきた経験があり、実践的で分かりやすい内容に自信があります。
転勤が成立しているため返金は不要
まず結論からお伝えしますが、転勤してすぐに会社を辞めても、会社負担の引っ越し費用を返金させられることはありません。退職の意志を伝えたときに、上司が

いま辞めるなら引っ越し費用を返金させる
と言ってきたとしても、実際に返金させられることもありません。
引っ越しを済ませて新しい職場で働き始めたことで、転勤という業務命令は遂行しており、それをさかのぼって返金させる根拠はどこにもありません。もし上司がそのような発言をしたなら、それは労働基準法違反ということになります。
労働基準法第16条にはこのような記載があります。少しわかりにくいので要約すると、退職することについて違約金の請求や損害賠償の請求をしてはいけないということになります。

辞めるなら引っ越し費用を返金させる
は、損害賠償の請求に該当します。
それを予定すること自体がNGですので、就業規則で定められていても、その就業規則が法律違反していることになり、引っ越し費用を返金させられるということはありません。
返金が必要になるケース

労働基準法により、会社負担の引っ越し費用を返金させられることはないとお伝えしましたが、転勤直後に会社を辞められることは、会社にとって大きな損失になります。引っ越し費用を払った上に人材まで失うのは避けたいところ。
このため会社によっては、労働基準法違反にならない方法で返金を請求してくることがあります。どのような方法で請求してくるのかを見ていきましょう。
就業規則で規定されている
就業規則で「6ヶ月以内の退職は引っ越し費用を返金のこと」と規定した場合は、すでにお伝えしましたように労働基準法違反です。
ただ、就業規則で引っ越し費用を会社負担という形ではなく、返還義務のある貸し付けにしている場合だと話が変わってきます。
これは研修費用などによく使われる方法で、引っ越し費用を社員に貸し付けし、新しい職場で一定期間働いた場合に返還を免除するという形を取ります。貸し付けですので、定められた期間になる前に会社を辞めた場合には返金しなくてはいけません。
このようなルールを採用している会社はそれほど多くはありませんが、転勤後の退職が多い会社などでは対策として導入していることがあります。就業規則を確認して、引っ越し費用の取り扱いがどうなっているかを確認しておきましょう。
賃貸物件の敷金を出してもらった場合
引っ越し費用を会社負担とする場合、費用をどこまで負担するかは会社によって違います。もし会社が賃貸物件の敷金を出していた場合には、それを請求される可能性があります。敷金は退去時に戻ってくる可能性があり、それを自分の懐に入れるのは筋が通りません。
返金額は敷金全額です。家賃が10万円で、敷金が2ヶ月分なら20万円の返金が発生します。敷金だから、返金するにしても原状復帰費用などを差し引いた金額になるのでは?と思うかもしれませんが、そもそも敷金と原状復帰費用は関係ありません。
敷金はあくまでも預り金であり、退去するときには全額返金されます。ただ敷金を全額返して原状復帰費用を請求すると手間がかかるので、慣例として差し引きしているだけです。
転勤直後に退職するための3つのポイント

引っ越し費用が貸し付けだったり、賃貸物件の敷金を出してもらっていたりした場合には、会社に返金する必要がありますが、一般的には転勤直後の退職で返金を求められることはありません。ただ上手に辞めないとトラブルに繋がってしまいます。
そこでここでは、転勤直後に退職するためのポイントを3つご紹介します。
1〜2ヶ月前には退職の意志を伝えること
まず大事なのは、退職希望日の1〜2ヶ月前に退職の意志を伝えることです。有給消化をしたいなら2ヶ月前、最後までしっかりと働く場合でも1ヶ月前に伝えましょう。法律上は14日前までに伝えればOKですが、それでは十分な引き継ぎもできず会社に迷惑をかけてしまいます。
いつまで伝えればいいかは就業規則に書かれていることもありますので、念のため就業規則もチェックしておきましょう。大事なのは「決めた」と伝えることです。「悩んでいる」や「検討している」と言うと、間違いなく引き留めようとしてきます。
引き留められたことで話がもつれ、円満に退職できなくなることが多々あります。最初から毅然とした態度で、揺るがない退職の意志を伝えてください。
退職する正当な理由を用意する
退職の意志を伝えるときに必ず理由を聞かれます。このときに上司が納得する正当な理由を用意しておきましょう。「なんとなく」では上司も会社に説明できず困ってしまいます。ただし、転勤があったことは理由にしないように気をつけましょう。
転勤が理由なら「1年後に元に戻す」といった形で説得してきます。こうなると辞める理由がなくなってしまいます。

「実家の仕事を引き継ぐことになった」「友人の会社を助ける」「独立して自分の実力を試したい」
など、受け入れてもらうには前向きな理由が理想です。
職場の人に嫌われることを恐れない
転勤してすぐに退職すると、これまで仲良くやってきた人たちに嫌われてしまうのではないかと思って、なかなか踏み切れないでいる人もいますよね。でも社内のすべての人との関係を維持しながら会社を辞められるケースなんてほとんどありません。
職場の人に嫌われたくないなら、その職場に留まりましょう。辞めたいのであれば、嫌われることを恐れないことです。こういうときには八方美人であることをやめて、嫌われてもいいという覚悟を持ちましょう。その覚悟が周りに伝われば、意外とスムーズに退職できます。
まとめ
転勤直後に退職の意思を伝えると、会社負担の引っ越し費用を返金するように求められることがあります。これは労働基準法に違反しており、就業規則で定められていても返金する必要はありません。ただし次の2つのケースは返金が必要です。
- 引っ越し費用が貸し付けだった
- 賃貸物件の敷金を会社が負担した
これ以外のケースで返金を求められたり、給料から天引きされたりした場合には、労働基準監督署に相談しましょう。
また理不尽な返金請求をされないためには、退職意志の伝え方も重要になります。急に辞めるのではなく、少なくとも1ヶ月前までに上司に伝えてください。そのときに揺るがない意思であることも伝えて、引き留めによるトラブルを回避しましょう。
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